UMPC『GPD Pocket』の実機レビュー。約7インチのディスプレイを搭載と小型ながら、クラムシェル型でキーボードもついて、Windows 10が動くという、夢のようなモバイルガジェットです。
LTE通信機能はないですが今はテザリングやWi-Fiがありますし、内部スペックもIntel Atomにメインメモリが8GBと、一昔前に発売されたMicrosoft Surface 3と比較しても、価格も考慮してモバイル端末としてのスペックは十分。本記事では使ってみて実際に良かった点、微妙な点を紹介していきます。(端末提供:GearBest) 追記:いくつかの記事に分けて書いていこうかと思います。
目次
- GPD Pocket・実機レビュー
- 開封・Unboxing
- ACアダプター、USB Type-Cケーブル
- アルミ合金素材のクラムシェルの本体デザイン
- 7インチのタッチディスプレイ
- ヒンジ部分・クラムシェルを開いた時の角度
- 接続ポート(USB/USB Type-C/MicroHDMI/3.5mmヘッドフォンジャック)、空冷ファンなど
- キーボードの配列やキーピッチ、打刻感
- トラック・ポイントの操作感
- ポインティング・スティックで良いところ
- マウスを導入した方が良いと思うところ
- モノラルスピーカーの位置と音質
- GPD Wikiに掲載のBIOS情報・不具合関連を確認作業
- ロットごとの違いとBIOS確認
- GPD Pocketの不具合関連確認
- GPD Pocketをとりあえず使ってみての評価(その1)
GPD Pocket・実機レビュー
今回レビューするのは、Windows 10を搭載した小型PC「GPD Pocket」です。
GPD(GamePad Digital)社の製品をレビューするのは今回が初めてですが、GPD Pocketに関しては家電量販店でも何回か触っていたりしたので、実際に使ってみての違いも考えてみたい少しずつ紹介していきたいと思います。
開封・Unboxing
まずは箱から紹介。正方形の化粧箱にブランドロゴが入っていますね。
上蓋をめくると、右にGPD Pocket本体等、アクセサリー類などが同梱しています。
まずは本体梱包からみてみましょう。GPD Pocket本体はスリーブに包まれており、そこからさらに、上下のクッション材によって守られています。これなら安心です。
他の付属品。Type-C – Type-CのUSBケーブル、ACアダプター、説明書、ディスプレイ保護用フィルムなどが付属します。保護フィルムはロットによって入ってたり入ってなかったりとあるようですね。
ハードウェア説明書は日本語も記載されていますね。技適を取っていたりなど、おそらくこのモデルはGPD WINとともにファンがいて日本国内で売れているでしょうし、GPD社もしっかり日本市場に力を入れている感じがしますね。
本体クラムシェルを開けると、キーボードやディスプレイが傷つかないように保護されているのが分かります。
ACアダプター、USB Type-Cケーブル
ACアダプターです。ケーブルはType-C to Type-Cのタイプですね。
アルミ合金素材のクラムシェルの本体デザイン
マグネシウム/アルミ合金の本体ボディ。まずは天板はロゴなど一切入っていないシンプルな外観となっており、どんなシーンでの利用にも、デザインとしてはほとんど気にならないと思います。
Macbook Proの筐体(下)と重ねてみます。メタルの素材感は、Macbookシリーズに採用されている感覚と近いかもしれません。このサイズ感、価格、スペックで外観もスッキリ綺麗に仕上げているのはすごいですよね。
底面。弱ラバー素材の滑り止めが4つ。それから底面のメタルパネルは6つの+ネジで本体に取り付けられています。一応GPDのロゴや技適関連の文字もここにありますが、見える部分は極力シンプルに、見えない部分にこういったものは配置されているようですね。ちなみにメタル板に穴の空いている部分には下に冷却ファンがあったはずなので、この辺りの役割も果たしていると思います。(実際に冷却した風が出て行くのはサイド部分のようですが)
クラムシェルを開きやすいように、少しくぼみが付いています。
ただし、あまりに本体が軽すぎるのか、小さすぎるのか、片手では持ち上がってしまいます。もちろん他のノートPCのように巨大ではないので、両手で本を開くように開けると良いかもです。
PC本体を正面からみてみます。メタルパーツが綺麗に加工されています。メタルの外装は強度もなかなかありそうです。
激安のネットブックともまた別ジャンルに位置するPCという印象、Pocketの方が明らかに小さいですしね。おそらく今のネットブックはポケットには入らないでしょうし。
斜めから。こうして近い写真で見ると、意外と普通のノートPCやタブレットPCに見えなくもないですが…
Macbook Pro(13)と並べてみると、そのサイズの違いは一目瞭然。Macbook Pro → Pocketに行くと非常にコンパクトで小さく感じますし、逆にPocket → Macbook Proに行くと13.3インチのディスプレイが異常に大きく感じます。
7インチのタッチディスプレイ
GPD Pocketは約7インチのディスプレイがタッチスクリーンに対応していますが、操作の部分でトラックポイントが使いにくさを感じる時がたまにあるので、タッチとトラックポイントの操作を両方使うと良い感じです。
外での視認性も悪くないですね… pic.twitter.com/QGq4EdNI4G
— TUSB (@Mochi_LOG_) November 8, 2017
ディスプレイの明るさは最大で結構明るいので、外出先の視認性も全然確保できますね。個人的に部屋利用では明るすぎると感じる時もあるので、室内利用はモニターにつないで設定するか、GPD Pocket本体のみで利用するなら明るさ最低で夜間モードONでも十分使える明るさです。
ヒンジ部分・クラムシェルを開いた時の角度
非常にコンパクトなWin10ラップトップとしても魅力的ですが、クラムシェルをがっつり開いて作業できる、GPD Pocketの魅力じゃないでしょうか。タッチスクリーンに対応しているので、場所によって色んな角度で使えるのは武器になります。
横から見るとこんな感じです。結構ギリギリまで開きますね。…ただし、開く角度が広いと当然メタルの本体部分がテーブルに触れるので、必要に応じてクッションやケースは自作する必要が出てきそうです。
ちなみにどのくらいの角度までヒンジを広げると床に付くか、という点ですが、下の写真程度まで開くとメタル本体が接地します。…当然開きすぎない場合には底に滑り止めゴムが4つ付いているので、普通に利用する分にはあまり気にしなくても良いかもしれません。
本体ヒンジの内側をみてみると、メタルパーツに穴が空いていました。ベンチレーションに貢献しているのか、筐体がWin10 PCでこのスペックだと本当に小さいので、通気性を高めているものと思われます。(違ったらすみません)
接続ポート(USB/USB Type-C/MicroHDMI/3.5mmヘッドフォンジャック)、空冷ファンなど
ポートは本体左側に集約されています。USBポート(3.0)、USB Type-Cポート(3.0)、3.5mmヘッドフォンジャック、microHDMIポートがあり、モバイルPCとしてこのサイズでこれだけポートが搭載されていれば、ハードディスクに繋いだり、ハブからSD、microSDカードを読み込んだり、ディスプレイに出力したり、有線でネット接続したりと、大抵のことはできそうです。
左型のところに通気孔が設けられています。説明みると冷却ファンの位置もここで、実際にファンが回っている状態ではここから風がガンガン出てました。
キーボードの配列やキーピッチ、打刻感
GPD PocketはQWERTYのUSキーボードとなっていますが、キー配列は少し変則的です。アルファベット等の主要キーに関してはキーピッチが16mm程度とられているのでこのサイズを考えると押しやすいですが、記号系のキー、CapsがAと隣接していたりと、とにかく使って慣れる必要があります。マウスでいうクリックは、青の線が入っている部分。
やはりUMPCとして7インチのディスプレイとこの筐体サイズにおさめるにはしょうがない気もしますが、慣れてしまえば問題なさそうな感じがします。しばらく当サイト更新にも利用していますが、逆にMacbook ProやAnkerキーボードに戻ると、広すぎて逆に打ちにくかったり…といったことも。とにかく慣れでしょうね。
個人的に気になる部分といえば、バックスペースキーが電源キーと隣接している点でしょうか。初期設定では確か電源キー1回押しで電源OFFもしくはスリープになっていたはずなので、これだけ近いと筆者の指のサイズもありますが、誤打をしてしまいます。
↑backspaceキーと電源キーが隣接。
対処方法としてはDelキーとbackspaceキーを何らかの方法で入れ替えてしまうなどもありますが、今回はとりあえず電源設定から電源キーの割り当てを何もしないように変更して、とりあえずの対処をしました。
↑『設定 > 電源とスリープ > 電源の追加設定 > 電源ボタンの動作を追加する』で、電源ボタンを押した時の動作を「何もしない」に変更する対処
一応これで問題なさそうな感じがしますが、下にDelキーがあると文章を間違えて削除してしまう場合もあるので、長期的にみるとソフトウェアか何かでキー割り当ての入れ替えを行った方が快適な気がします。この辺りは別記事でまとめてみようかと。
トラック・ポイントの操作感
GPD Pocketでは、その筐体をポケットサイズに収めるためにトラックポイント(ポインティング・スティック)を採用しています。LenovoのThinkPadなんかにも付いているやつですね。
最初は「USBポートも付いてるし、Bluetoothもしくは有線マウスの方が使いやすいかな」とも思っていたのですが、意外にもこのトラック・ポイントでのポインター操作が快適です。追記:やはりThinkPad用のロープロファイルが良いとの情報なので、今度購入して試してみます。
ポインティング・スティックで良いところ
理由は2つあるのですが、
- 右手がキーボートとマウスをいったり来たりするのが嫌
- 手のポジションをそこまでずらさずに操作できる
といったところです。まずは1ですが、マウスを使うと当然キーボードから手が離れます。GPD Pocketのキーは少し変則的なので、個人的なポジションを見失うと、入力がしにくくなる、というのが一点。
次に2ですが、トラックポイントを利用することで、手の位置はそこまで動かさずに使えます。両手をある程度自分の好きなキーボード上ポジションにステイさせることができるので、文章入力が多い人にはこのトラックポイントをそのまま使うのが良さそうな印象。
マウスを導入した方が良いと思うところ
ただしポインティング・スティックを利用することで、
- スクロールが面倒
- ポインターの移動やクリックは、マウスがあった方がやり易い
…です。当然十字キーの下でPage Down、スペースキーでもスクロールはできますが、正直これはマウスがあった方がやり易い。またポインターの移動も、付属のトラック・ポイントと比較すると、やはり慣れているからか、圧倒的にマウス操作の方が快適です。
クリックがトラックポイント下のキーに割り当てられていたりと初めて使うには結構トリッキーなキーボードでもあるので、ポインター操作、クリック、Ctrl+CやVでコピー&ペーストなどを多用する方なら、マウスを導入した方が良いと感じました。
…ただマウスを持ち運ぶとまた荷物がかさばるので、個人的には全力でこのトラックポイント操作になれる努力をした方が良いのかななんて思ったりも…。このあたりはもちろんお好みですが。あとはタッチスクリーンに対応しており状況によっては画面を直接触れた方が操作し易いので、そこも含めて検討すると良いかもです。
モノラルスピーカーの位置と音質
モノラルスピーカーが内蔵されていますが、音の出ている位置としては赤で丸をつけたあたりです。下やサイド、ヒンジ部の通気孔あたりから音が流れているのかと最初は思ったのですが、やはり右側キーボード下あたりから直接聞こえますね。
モノラルスピーカーの音質に関しては、価格と筐体サイズを考えると悪くはないです。
ただ大音量にすると音割れぽいものも確認できたので、最近のスマホと違って3.5mmオーディオジャックも搭載されていることですし、このサイズ感と音質でわざわざ内蔵スピーカーを使う必要性を感じることがないというのが正直なところ。
最近だとタブレットやPCのスピーカーも音質が良いものが結構ありますが、GPD Pocketに関しては進んで使うとは思えません。
GPD Wikiに掲載のBIOS情報・不具合関連を確認作業
GPD製品で迷ったらここを見ろ、な「GPD Wiki」(非常にありがたいページです。先人の知恵が詰まっています) に、大抵の情報は載っているので、不具合関連など確認作業もしてみたいと思います。
ロットごとの違いとBIOS確認
- バッテリーコネクタが抜け易い→問題なさそう
- ホールセンサーの不具合→問題なさそう
- キーボードがマットなものに変わった→おそらくマットなものかと思うので、2017年7月中旬から後半ごろ以降の出荷ぽい
- 液晶保護フィルム付属→比較的新しいものの可能性
- 技適Tのところも印字→あり、比較的新しいものの可能性
- BIOS更新→2017/08/07表示。比較的新しいロットの製品である可能性が高い
…という感じになっており、BIOSが2017/08/07になっているので、これ以降のロットである可能性が高そうです。現状最新BIOSがこのバージョンだったはずなので、とりあえず不具合など感じるまではそのままレビューしていきたいと思います。
他のところに関しては印字有無もコメント欄で色々あるみたいで、このあたりが気になる方はGPD Wikiのロット毎の違いをチェックしてみると良さそうです。
GPD Pocketの不具合関連確認
- 電源を押しても起動しない →今のところなし
- 蓋を閉じるとスリープから復帰 →今のところなし(ファンも回ってないので問題なさそう)
- イヤホンにノイズがのったり、音が途切れる →常時イヤホンもしくはヘッドフォン利用ですが、特に感じず
- メモリが1066MHzになっている→1066MHzなっている、しょうがない
- 充電中に発熱する→ちょいちょい発熱がある様子
- 充電完了後にバッテリー電源に勝手に切り替わる(フル充電された状態でAC電源で使えない)
- スリープ中にファンが回る →今のところない
- 電源がオフなのに充電中にファンが回る →
- ファンの音がうるさい →それなりに聞こえるが、カフェで隣の人を邪魔したり、隣の人の睡眠を妨害するようなうるさい音ではない
- 一部のUSB Type Cのハブを充電しながら使うとハブ自体が壊れる USB PDを謳っているのに充電が遅い/充電にかかる時間が充電のたびに違う→あまり推奨されないようなので、試さない
- CPUの速度が0.46GHzに固定されてしまうない
- ディスプレイがちらつく→ない
- タッチパネルのタッチ位置が非常に大きくずれる→感じず
- 完全に放電された状態で、全く充電ができず、電源を入れることができない→付属ACで今のところ問題なし
- スリープ中のバッテリー消費が多い→検証中
- 勝手にスリープから復帰したり、スリープ中に電源が落ちる→特になし
- WiFiが不安定だったり、接続できなかったりする→初期状態で、今のところ問題なし
- スリープからの復帰後にWiFiが接続できなくなる→特になし
- 休止状態が有効な場合に、スリープ中に勝手に再起動する→今のところなし
- 再起動に時間がかかる(5分以上など) 不具合と間違えやすい→起動がもともとそんなに早くないようですが、気にならず
追記:充電中に利用するとスリープっぽい挙動が何回か。やはり充電中は利用推奨されてないってことなので、そういうことなのでしょうかね…。
メモリも1066MHzでしたが熱対策じゃないかということなので特にいじらず。…正直長期間利用してみないと不明な点が多いですが、BIOSも届いた時点で最新のものになってましたし、動作も今のところ問題ないようですね。充電中に熱持ちしたりあるので、現在じっくり確認中です。
GPD Pocketをとりあえず使ってみての評価(その1)
GPD Pocketをしばらく使ってみて最初に感じたのは、キーボードは慣れさえすれば意外といけるということでしょうか。特にアルファベットの部分はゲーム利用キーを気にしなければ文章入力は問題なさそうな感覚ですね。
ただ利用PCやキーボードが頻繁に変わる方は、結構大変かもしれません。例えば今回でいうと13インチ級のノートPCへ戻った時への違和感が半端ないので、この辺りは接続ポートを駆使して自宅でも外でもGPD Pocketをメイン機として使うということであれば問題ないのですが。Bluetoothも安定しているみたいなので自宅ではワイヤレスのキーボードが利用できますし(USBポートあるので有線でも良いですし)、モニターにつないだりできますしね。
Microsoft ExcelやGoogleスプレッドシートも7インチなら「外で軽く編集」くらいなら問題なさそうで、Windows 10ホーム搭載で、自宅WinPCと同じように使えるのはGoodですね。この辺りも周辺機器を揃えてしまえばできることが多いのかなという気がするので、これから出番は多くなりそうな予感です。購入は以下のサイトから。
Atom機ですが8GB RAMということでどれくらい動くのかなというところ、バッテリーも現在良好な気がしますが実際どれくらい使えるのかなというところなど、次回のレビューでは確認してみたいと思います。
(レビュー)