中国Xiaolajiao (小辣椒)のグローバル向けブランドiLA Mobileから「iLA X」が発売されていたので、試しに買ってレビューしてみました。
iLA XはiPhone Xライクなデザインを採用したAndroidスマートフォンで、100ドル台の低価格とその外観が特徴のモデルです。
iPhoneへ似せている部分というところでツッコミどころはいくつかあるのですが、中国国内ではキャリアで取り扱っているモデルもいくつかあるからか、この価格にしては意外としっかりしているなという中華スマホでした。ではいってみましょう。
目次
iLA X 実機レビュー
(iLA Xについて)
TOMTOPからLTE対応の中華スマホ「iLA X」を購入したので、レビューしていきます。購入時の価格は119.99ドルと、低下価格が特徴の機種。
iLAは中国Xiaolajiao (小辣椒) のグローバル向けブランドで、国内のモデルでは「小辣椒S11」が同じ機種に当たるかと思います。中国版のS11ではYunOSが搭載されているようですが、国際版となるiLA Xに関しては普通の Androidが採用されているみたいです。
以前はChina Unicomと協業で端末を出したりしていたはずなので、海外向けのiLAブランドはこれから少しずつ機種が増えるのかなというところもあって、試しに購入してみました。
デザイン
まずは開封から。HUAWEI P10 Lite的な縦ボックスですね。
付属品。iLA X本体の他には、充電用microUSBケーブル、ACアダプター、ケース、保護フィルム、SIMピン、説明書など。特筆すべきところは特になし。
保護フィルムが貼ってあり、予備も付属しますが、今回は剥がしてレビューします。
iLA X本体。5.5インチの18:9ディスプレイ。本体、かなり軽く感じます。
背面はiPhone Xぽさが。色的にはジェットブラックに似せている気がします。
少し遠くから見たらiPhone Xに見えなくもないです。
付属のソフトケース付きで。
裏面がくっつかない専用ケースになってるのは良いです。
右サイドに電源キーとボリュームキー。
左サイドにはSIMスロット。
上部に3.5mmヘッドフォンジャック。
microUSBポート、スピーカーなど。
リアカメラ。
フロントのノッチ部分。
もちろんiPhone Xぽいというところなのですが、背面は適度に光沢のあるパーツでチープには見えないですし、サイドフレームもしっかりしています。
中華スマホは特に無名ブランドで低価格となると、指紋認証ボタンがずれたり、本体を振ると中の部品がずれる音がしたりといったことも経験したことがあるのですが、iLA Xに関してはそういったハード面の残念なところは感じられず。
個人的にiLA Xのデザインは悪くないと思いますね。
iPhoneぽくカスタマイズしてみた
アプリを使って、iLA XをよりiPhoneぽくカスタマイズしてみました。ホーム画面はiPhoneに見えなくもないですが、指紋認証センサーなどみると、やはり1発でわかりますね。
別途アプリでカスタマイズしたコントロールセンター。
背面なんかもiPhoneに似ているので、iPhone Xをあまり知らない人がロゴを隠したiLA Xをみたときは、iPhone Xと見間違えるかもしれません。
iPhoneのデザインを模倣した端末という意味では、遠目からみると勘違いすると思います。ですので、全体的な外観というのは完全コピーではないですが、けっこう似ていますね。
スペック・基本仕様
MODEL | iLA X |
---|---|
ブランド | iLA(小辣椒のグローバルブランド) |
本体サイズ | 153.7×71.2×7.95mm |
カラー | ブラック ホワイト ブラッシュゴールド |
ディスプレイ | 5.5インチ 18:9 1280×640ドット |
SoC | MediaTek MT6737 クアッドコアCPU 1.3GHz |
OS | Android 7.0 Nougat |
RAM | 3GB |
ROM | 32GB |
外部メモリ | microSDカードスロット 最大128GB対応 |
カメラ | リア13MP フロント5MP |
SIMサイズ | デュアルSIM(nano + nano) |
対応バンド | EU版: FDD-LTE - B1/3/7/20 TDD-LTE - B38/39/40/41 WCDMA - B1/2/8 GSM - B2/3/5/8 アジア版: FDD-LTE - B1/3/7/8 TDD-LTE - B40/41 WCDMA - B1/2/5/8 GSM - B2/3/5/8 |
バッテリー | 2500mAh |
センサー | 指紋認証、近接、環境光、Gセンサー、GPS |
その他 | Wi-Fi, Bluetooth |
参照 | http://www.ila.net/product-x |
エントリーモデルのスペックに18:9ディスプレイ、iPhone Xライクな外観というのがiLA Xの特徴かと思います。日本語対応。今回はTOMTOPで購入しましたが、GearBestなんかでも取り扱っているみたいです。
ノッチはあるが、普通の18:9ディスプレイ
購入する前はAndroidながらiPhone Xライクなノッチを搭載し、ある程度ディスプレイもカスタマイズ・最適化されているものと思っていましたが、特にノッチ両サイドの部分はディスプレイとして機能している訳では無いようで、普通の長方形18:9スクリーンです。
おそらくiPhone Xぽく見せるデザインのためというのが一番の理由に思われますが、この仕様にする意味というのは、多分利用上全く意味が無いですね。
本体サイズは非常に良いです。5.5インチのディスプレイですが、18:9の1280×640ドットということで、例えば16:9の5.5インチスマホと比較すると、横に狭くて持ちやすい。ケースをつけても、ご覧の通り。
本体も全体的に丸みがあって、片手でホールドし易いのは非常に良いですね。試しにXiaomi Mi A1と比較してみましたが、圧倒的にiLA Xの方が片手で扱い易いです。
ディスプレイでソフトウェアのナビゲーションキーを隠したりといった最適化はまだ十分では無いようで、設定に「フルスクリーン」の設定はあるのですが、アプリによってはソフトウェアキーが表示されたままだったり。
(ソフトウェアキーがありますが、指紋認証センサーもホームボタンかつ押込でアプリ一覧が出てきたりと、操作はちょっと迷う作り)
UIはほとんどカスタマイズされていないようで、ディスプレイは色反転はできますが、読書モードなどはないみたいです。
Youtubeなんかはすでに拡大で18:9フル表示ができるようになっていたりはするので、そこは比較的新しく、低価格ながら新アスペクト比を採用したスマホ、といったところ。
(Youtubeなどはすでに18:9のアスペクト比への拡大表示へ対応していたりするので、そういったコンテンツの利用には便利)
…18:9でHDディスプレイだと1440×720が多い気がしているのですが、iLA Xは1280×”640″ドットと少し珍しい解像度を採用しているせいか、YouTube動画で480pがMax再生なのは少し気になります。
(ただ低下価格の中華スマホの中では、ディスプレイの質は個人的に好きで悪くないと思います)
例えばフルHDディスプレイ端末(例えばiPhone 8 Plus)で1440p設定で動画再生自体はできてしまうのでこの辺りのYouTubeの仕様もよくわかってないのですが、とりあえずiLA Xに関しては480pが最大でした。
デュアルリアカメラぽいが、普通のシングルリアカメラ
iPhone Xぽいデザインであることからカメラ部分も「デュアルカメラっぽい」見た目になっていますが、実はリアカメラはシングルです。購入時にスペックを見て知ってはいたのですが、実物を手にしてみると、この外観でシングルリアカメラというのは面白いですね。
(デュアルリアカメラに見せかけて、シングルリアカメラ)
そのシングルリアカメラは13MPなのですが、UIはMediaTek SoCを採用した中華スマホエントリーモデルのそれで、画質は、価格を考えるとそんなに悪くはない気がします。
いくつか理由があるのですが、この価格帯でこの系のブランドだと、デュアルカメラでまともに使えそうな機種がないのでシングルでOK、というところが1点。
あとは意外とまともに写真が撮れるというところですかね。
(13MPオート撮影、横680pxへサイズ変更後アップロード)
暖色系の室内灯での撮影だと、フォーカスなどは厳しい感じがしますね。コンビニ内くらい明かりがあれば、100ドル台のスマホでももうこれくらいは撮れるんだなあという気持ちに。
メイン機、もしくはサブ機としてのスマホカメラにもかなり厳しい(ミッドレンジモデルをメイン機にしている人ならありかもですが)とは思いますが、100ドル台前半の価格を考えれば、これで十分というか。200~300ドルでもまともに使えないカメラというのはありそうなので。
…iPhone Xへデザインを似せる為のディスプレイ上ノッチ、デュアルカメラっぽいシングルカメラなどいくつかツッコミどころはあるのですが、100ドル台のスマホと考えると、ディスプレイもカメラも別に悪くないです。
ベンチマークスコア
MediaTek MT6737(T)、クアッドコアCPU、3GB RAMでスペック的には完全にエントリーモデルなので、ベンチマークスコアも低いです。
AnTuTu Benchmark Ver 7.0.4
Geekbench 4
100ドル台のスマホとしての動作について
いつも通りMARVEL フューチャーファイトをとりあえずプレーしてみましたが、さすがに快適にはプレイできませんね。処理が追いついていないようで、攻撃が見えずに戦闘が終わってしまいます。
(スナドラ835搭載機ですら遅いと感じる時のあるゲームなので、エントリーモデル向けのMT6737(T)クアッドコアCPU、3GB RAMではさすがに無理させすぎ感)
MARVEL スパイダーマン・アンリミテッドくらいのライトゲームであれば、細かいことを気にしなければそこそこプレイできる印象です。
(ライトゲームなら多分いけます。電池は一気に消費します)
MediaTek SoCでクアッドコアCPUですが3GB RAMなので、死ぬほどエントリーモデルの末端過ぎてまともに使えない、ということはないかと思います。
電池持ちと充電時間は普通
iLA Xの充電時間は1時間半程度。公称のバッテリー容量が約2500mAhということなので、100ドル台のエントリーモデルと考えるとこんなもんでしょうか。
電池持ちに関してですが、まずスタンバイ状態だと、Wi-Fi接続時でディスプレイOFFだと12時間で100%→75%。
ディスプレイONで利用するとやはり減りますね。元々のバッテリー容量が少ないのと低価格のエントリーモデルということもあってか、普通に利用すると多分1日は持たないです。
価格を考えると悪くはないと思うのですが、メインスマホで使いたいかという話になるとノーです。
メイン機として VS 100ドル台のスマホとしての所感
ミッドレンジで100ドル追加すればXiaomi Mi A1を買える時代に、100ドル前後でそこそこ無名なiLA Xを購入する理由というのは多分無いですし、 そのスペックからメイン機としてもオススメすることは無いと思います。
- メインスマホとして使いたいか?:NO
- 重いゲームができるか?:もちろんNO
- カジュアルゲームができるか?:多分YES
- 普通のスマホとして使えるか?:YES
- iPhoneに似ているか? : 見方によっては
- 紛らわしいか? : YES、でも中華スマホとしては騙された感じもしない
そのディスプレイ解像度からYouTube視聴用としても微妙ですし、カジュアルゲームもできるにはできるのですが、電池持ちはそんなに良いわけでないのでサブ機としてもキツめ。
iPhone Xに似せたデザインは、ノッチサイドはディスプレイではないですし、デュアルリアカメラと見せかけてシングルだったりと「似せているだけ」な印象が強いです。
ただ「中華スマホとしてのやられた感はそこまでない」気がしていて、理由はいくつかあるのですが、
- スペック表を見ればこの仕様は一応分かる
- 中華スマホで発見しがちなハードウェアの不具合が、今のところ感じない
など。公式サイトの仕様や写真をよく見ればだいたいこんな感じのAndroidスマートフォンになっているのは分かりますし、無名ブランドの中華スマホによくある、指紋認証センサーが触るだけでズレたりとか、物理ボタンがゆるゆるだったりとか、中で部品のズレ動く音がするとか、そういった中華スマホ不具合あるあるが今のところiLA Xにはないです。
そう考えると、100ドル台としてはけっこうしっかりできた中華Androidスマホだなと思うところもあって、なんとも言えない機種。カジュアルゲームやSNSなどを使いたいというならいけますが、そのスペック面で、日本ユーザーからの需要はかなり少ないかと。
あえて需要を見い出すとすれば、「200~300ドルの無名中華スマホ、不具合ありすぎ。ボタンがズレたりしなけりゃ、低スペでもいいのに」と感じている方向けか、もしくは小辣椒というブランドにただの好奇心だけて使ってみたい筆者のような人間とか、そういった方向けでしょうか。
そもそも今回購入した動機が「Xiaolajiao (小辣椒) って中国キャリアと組んで端末出してたりもしたけど、実際どうなの ? 」というところだったので、その部分では意外と好印象でした。
…今回iLA Xを買ってみて、少なくともハードウェアの作りなんかはしっかりしていると感じました。グローバルブランドのiLA Mobileとしてミッドレンジ以上の機種が出るなら、次も試してみようかなという気がしています。