2017年に搭載機種が登場するQualcomm(クアルコム)のプロセッサー「Snapdragon 835 (MSM8998) 」のスペックや搭載機種のベンチマークスコアをまとめてみました。2017年前半は多くのスマートフォン向けプロセッサーの中でも最上位に位置するようなSoCです。
目次
Snapdragon 835(MSM8998)のスペック
MSM8998(Snapdragon 835)は2016年後半に発表されたプロセッサーで、サムスン(Semicondactor)の10ナノメーターFinFETプロセス製造。Snapdragon 820/821は14nm FinFETだったので、次世代プロセッサーということもあって性能向上が期待されています。
MODEL | Snapdragon 835 (スナドラ835) MSM8998 |
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Fabrication | 10nm FinFET LPE |
モデム | X16 LTE modem |
LTEカテゴリー | LTE Category 16 (downlink) LTE Category 13 (uplink) |
ダウンリンク | 4x20 MHz CA Up to 256-QAM |
アップリンク | Qualcomm® Snapdragon™ Upload+ 2x20 MHz CA Up to 64-QAM |
通信速度 | ダウンロード 最大1Gbps アップロード 最大150Mbps |
サポートネットワーク | LTE FDD LTE TDD LTE-U LAA LTE Broadcast WCDMA (DB-DC-HSDPA, DC-HSUPA) TD-SCDMA CDMA 1x EV-DO GSM/EDGE |
マルチSIM | LTE デュアルSIMデュアルスタンバイ (DSDS) |
通話 | VoLTE with SRVCC to 3G and 2G HD and Ultra HD Voice (EVS) CSFB to 3G and 2G |
Wi-Fi | 802.11ad 802.11ac Wave 2 802.11n 802.11a/b/g 2.4/5/60GHz 最大867Mbps MIMO:2x2 (2-stream) 最大256QAM |
Bluetooth | 5.0 |
位置情報 | GPS GLONASS Beidou Galileo QZSS SBAS |
NFC | サポート |
USB | 3.1 |
カメラ | 16MPデュアルカメラサポート 32MPシングルカメラサポート Hybrid Autofocus Optical Zoom Hardware Accelerated Face Detection HDR Video Recording |
ビデオ | キャプチャ:Up to 4K Ultra HD video capture @ 30FPSサポート プレイバック: Up to 4K Ultra HD video playback @ 60 fpsサポート |
ISP | Qualcomm Spectra™ 180 image sensor processor 2x Image Sensor Processor (ISP) 14-bit Qualcomm® Clear Sight™ camera features |
ディスプレイ | 4K Ultra HDサポート 最大4K |
オーディオ | Qualcomm® aptX™ codec technology Qualcomm Aqstic™ audio technology |
CPU | 64-bit 8コア(オクタコア/Qualcomm Kryo 280 CPU) 最大2.45GHz |
DSP | Qualcomm® Hexagon™ 682 DSP Qualcomm All-Ways Aware™ technology |
GPU | Adreno 540 GPU |
APIサポート | OpenGL ES 3.2 OpenCL 2.0 full Vulkan DX12 |
充電 | Qualcomm® Quick Charge™ 4 technology Qualcomm® WiPower™ wireless charging |
メモリ | 速度:1866MHz タイプ:デュアルチャネル, LPDDR4x |
ストレージ | UFS 2.1 Gear3 2L |
SD | SD3.0 (UHS-I) |
その他参照 | https://www.qualcomm.com/products/snapdragon/processors/835 |
処理速度が向上しながらも、以前のデザイン(Snapdrgaon 820)と比較して消費電力が25%も少なくなっていることをアピールしているハイエンド端末向けSoCです。
Kryo 280採用のオクタコアCPU
参照:http://www.anandtech.com/show/10948/qualcomm-snapdragon-835-kryo-280-adreno-540/2
セミカスタムのKryo(クライオ) 280を採用した4コア+4コアの合計8コアCPU。高性能側のクロックスピードが最大約2.45GHz、省電力に優れたコアの方が最大約1.9GHzのBig.LITTLE方式を採用しています。
- 810 | ARM 8コアCPU(Big.LITTLE 4+4)
- 820/821 | Kryo採用 4コアCPU(Big.LITTLE 2+2)
- 835 | Kryo 280採用 8コアCPU(Big.LITTLE 4+4)
・・・という感じになっており、kryoを採用し8コアCPUに戻ってきたわけですが、Kryo・8コアでクロック数も高いので当然処理速度にも期待ができます。820比で20%程度高速だそうです。
一応調べてみるとSnapdragon 820のKryoがフルカスタム、Snapdragon 835に採用されているKryo 280はセミカスタムという位置付けになるようです。参考:PC Watch
Adreno 540 GPU
スナドラ820シリーズで採用されていたAdreno 530から、スナドラ835ではAdreno 540にパワーアップ。GPUは以前のモデル(Adreno 530/SD820)と比較して25%の3Dレンダリングパフォーマンス向上し、ディスプレイカラーは60倍。APIはOpenGL ES 3.2, DirectX 12, Vulkan他、OpenCL 2.0フルサポなど。ハイエンド向けということでAR、VR分野も見据えたGPU。
HEXAGON 682 DSP
デジタルシグナルプロセッサー(DSP)はHEXAGON 682。スナドラ820の時はH680だったのでモデルナンバー自体は上です。
Spectra 180 ISP
ISPもSpectra “180” ISPへアップデート。14-bitのデュアルISPとなっており、32MPのシングルカメラや16MPのデュアルカメラをサポートしています。またハイブリッドAFシステムがより賢く動作するようで、またデュアルDPAFもサポートしており、この辺りもカメラ性能に大きく影響してきそうな部分です。
X16 LTE modem
モデムはX16 LTE modemを採用。最大ダウンロード速度は1Gbpsに向上しており、ギガビットクラスのLTEモデムというのも注目ポイントでしょう。
その他
- 位置情報強化
- Bluetooth 5.0
- Quick Charge 4…などなど
Snapdragon 835の搭載機種とベンチマークなど
- SONY Xperia XZ Premium
- Samsung Galaxy S8
- Samsung Galaxy S8+
- SHARP AQUOS R
- OnePlus 5
- Xiaomi Mi6
- Nubia Z17
- Xiaomi Mi MIX 2
- OnePlus 5T
MSM8998はもっぱらモバイル端末でもハイエンド用(クアルコムの2017年4月時点で最上位SoC)ということもあって、当然ハイエンド志向の端末に搭載されています。記事作成時点で搭載しているのはSONY MCのXperia XZ Premiumと、SamsungのGalaxy S8/S8+のみ。Xiaomi Mi6は搭載がリークしていますが、明らかになるのは4月19日を予定しています。
追記:Xiaomi Mi6 & Mi MIX 2に採用。Mi Note 3も発表されましたがこちらはSD660で、コンセプトモデルから一歩踏み込んで大画面モデルのフラグシップがMi MIX 2、Mi Note 3は約5.5インチですし中国国内アッパーミッドレンジでOppoやvivoあたりの機種とぶつける気なのかもしれません。
ベンチマーク
発売機種のベンチマークはまだですが、各ベンチマークスコアが835採用リファレンス端末で出ている記事がまとめれられていたのでチェックしておきます。
- AnTutu Benchmark V6.2.7 / 182,535
- Geekbench 4 / single 2000越 / multi 6400越
- 3DMark (IC Unlimited) / 39500前後
参照:https://www.cnet.com/news/samsung-galaxy-s8-qualcomm-snapdragon-835-speed/
あとはSD835搭載モデルの価格次第でしょうか。価格度外視ならGalaxy S8シリーズやXperiaですが、コスパも考慮するとOnePlus、Xiaomi、Lenovo、ZTEあたりが次期モデルで搭載してくれないかなと期待している部分はあります。生産関連でも多くのニュースが出ているので、この辺りも今後のチップ需給に関わって来るかもしれません。