Qualcomm Snapdragon 855 Mobile Platformは、2018年12月にクアルコムが発表したプロセッサー。ハイエンドな性能のモバイル端末向けSoCで、Kryo 485 オクタコアのPrime Core構造採用CPU、Adreno 640 GPU、モバイルネットワークではX50モデムで5G通信もサポートします。
Qualcomm Snapdragon 855のスペック
MODEL | Qualcomm Snapdragon 855 |
---|---|
製造プロセス | 7nm |
通信モデム | Qualcomm Snapdragon X24モデム (※X50モデム for 5G) |
CPU | 8コアCPU Qualcomm Kryo 485コア 最大2.84GHz |
GPU | Qualcomm Adreno 640 GPU |
DSP | Qualcomm Hexagon 690 |
ISP | Dual 14-bit Qualcomm Spectra 380 ISP |
カメラ | デュアルカメラ,MFNR, ZSL, 30fps:最大22MP シングルカメラ, MFNR, ZSL, 30fps:最大48MP シングルカメラ:192MP 写真キャプチャ:HEIFフォトキャプチャ 動画キャプチャ:Rec. 2020 カラーガンマビデオキャプチャ、 最大10bitカラー深度のビデオキャプチャ、 最大720p @ 480gpsのビデオキャプチャ、HEVCビデオキャプチャ |
ディスプレイ | オンデバイスサポート:4K HDR 外部ディスプレイ:2つの4K HDR |
Wi-Fi | 802.11ad, 802.11ay, 802.11ax-ready, 802.11ac Wave 2, 802.11a/b/g, 802.11n |
Bluetooth | 5.0 |
オーディオ | Qualcomm TrueWireless Technology Qualcomm Broadcast Audio technology Qualcomm Aqstic audio technology Qualcomm aptX audio technology Qualcomm aptX Adaptive |
位置情報 | GPS, QZSS, GLONASS, SBAS, Beidou, Galileo, デュアル帯域GNSS |
NFC | サポート |
USB | USB 3.1, USB-C |
充電 | Qualcomm Quick Charge 4+ |
メモリー | 速度:2133MHz タイプ:4x16bit, LPDDR4x |
ポート | SM8150 |
参照 | https://www.qualcomm.com/products/snapdragon-855-mobile-platform |
Snapdragon 855(SM8150)は、ハイエンド端末向けに登場したQualcomm設計のプロセッサー。7nmプロセス製造で、CPUはオクタコアの最大2.84GHz、GPUにはAdreno 640、DSPにHexagon 690、ISPにSpectra 380を採用。
通信チップにはQualcomm Snapdragon X24モデム(モバイルネットワーク:ダウンロード最大2Gbps)が採用されていますが、オプションで5G対応のX50モデム(mmWave & sub-6)も提供予定。そのため、SM8150採用で5G対応のスマートフォンには別途X50モデムが実装されることになります。既に発表されているAndroidスマートフォンにも、同じモデルで5G対応/非対応機種を別々にリリース予定のメーカーが存在。
Wi-FiではWi-Fi 6(802.11ax)や、802.11ayベースの60GHz Wi-Fiをサポート。Qualcommによれば60GHz Wi-Fiは10Gbp/秒に対応しています。
CPUはKryo 485採用のオクタコア。最大2.84GHzのプライムコア×1、最大2.42GHzパフォーマンスコア×3、最大1.80GHzの効率コア×4の構造で、SDM845と比較してCPUは45%高速に。
GPUはAdreo 640。Qualcommによれば、前世代のGPUと比較してグラフィックスレンダリング速度は20%高速に。またモバイル向けSoCとしては初めてVulkan 1.1をサポート。
(aSMP→高コア群+省電力コア群のBIG.littleを経て、Snapdragon 855では3つの異なるクロックスピードコアを採用したPrime Coreデザインへ)
(800シリーズとしては、過去最大のCPU性能向上を主張)
DSPはHexagon 690。4スレッド DSP、4 Vector eXtrensions、新Tensorアクセラレーター、また第4世代のAIエンジンを採用し、SDM845と比較してAIパフォーマンスは3倍、他社SoC(Androidに搭載される7nm SoCと言及があり、HUAWEI Kirin 980と予想される)と比較してもAIパフォーマンスは2倍と主張しています。
(Snapdrgon 855では、7兆オペレーション/秒以上を実現)
(SDM845比で3倍のAIパフォーマンス向上)
ISPはSpectra 380。コンピュータービジョン(CV)ベースのハードウェアをISPに内蔵し性能向上と省電力化を実現。AIエンジンと組み合わせることで、キャプチャしたものが何か、誰か、深度情報など様々な環境を認識。カメラのパラメーターを設定することで最適な画像/動画キャプチャを提供。
(初のコンピュータービジョン(CV)ハードウェアISPをSpectra 380を内蔵)
(深度情報をパイプして、4K HDRで背景をぼかした動画のキャプチャ)
(背景/人物認識だけでなく、リアルタイムで背景色のみを変えたりできる)
(人物の動きは止めた状態でシャボン玉のみ動かしたりと、AIエンジンとの連携で様々なことができるように)
(Snapdragon 855はHEIFフォーマットをサポート。競合他社は現在ファイルサイズの軽量化に終始しているとし、データ量削減だけでない様々なHEIFフォーマットによる機能・特徴を将来のハードウェアでは使える予定)
(HDR10+キャプチャもサポート)
Qualcommはスマホでのゲーム需要や動画ストリーミングの利用時間にも注目しており、モバイル端末での画質・オーディオ体験を重要視。Snapdragon 855ではHDR10+、DOLBY VISION、120fpsビューイング、8K 360度 XR動画に対応。
(オーディオ技術では左右独立型イヤホン向けのQualcomm TureWireless Stereo Plusや、データ可変転送で低遅延と高音質を実現するQualcomm aptX Adaptiveもサポート)
UD(アンダーディスプレイ)指紋認証技術関連ではQualcomm 3D Sonic Sensorも紹介。従来の光学2Dイメージキャプチャと比較して、センサーがフル3Dイメージをキャプチャすることで、よりセキュアな認証を実現。濡れていたり脂っぽい指でも、正確に指紋を読み取ることが可能としています。
(Galaxy S10には、Qualcomm 3D Sonic Sensor技術が採用されている)
Qualcomm Snapdragon 855 Mobile Platformを搭載したスマートフォンはすでに多数発表されており、サムスン Galaxy S10/S10 Plus/S10e, Galaxy Fold、SONY Xperia 1、LG G8 ThinQ/V50 ThinQなどがあります。中国メーカーからも、Xiaomi Mi9/Mi MIX 3 (5Gモデル)/Black Shark 2、Nubia Red Magic 3、vivo iQOO、Lenovo Z5 Pro GT/Z6 Pro、OPPO Reno(10倍ハイブリッドズーム版)、Meizu 16sなど、多数リリース予定もしくはすでに発売された機種あり。
※Qualcomm公式で公開されているSnapdrgaon 855の機能や特徴は、機種によっては非対応の可能性があります。
Qualcomm Snapdragonプロセッサーの仕様と型番
Source : Qualcomm(EN)