低価格のDSDV対応スマホ「UMIDIGI A1 Pro」をレビューしてみたいと思います。単純にいうとMediaTekのエントリーモデル向けSoCであるMTK6739(MT6739)がデュアルSIMデュアルVoLTEも待受に対応しているのでその恩恵を受けているエントリーモデルなのですが、なんだか100米ドル前後で買えるスマホがもうDSDVサポート、と思うと非常に不思議な気持ちになったので、少しずつ追記もしてみようと思います。今回はUMIDIGI Mobileからサンプル提供を受けてのレビューです。
(提供:UMIDIGI Mobile)
UMIDIGI A1 Proについて
UMIDIGI A1 Proは、UMIDIGI Mobileブランドが発売している中華スマホです。SIMロックフリーで(この手のスマホは基本全てSIMフリーですが)、100ドル前後の価格でクアッドコアCPU、3GB RAM、5.5インチHD+ディスプレイとエントリーモデルと言えるスマートフォンです。OSはAndroid 8.1 Oreoが搭載されています。
UMIDIGIに関しては直近でUMIDIGI Z2/Z2 Proなどを発売予定でそこそこスペックの高いモデルも開発しているのですが(以前はUMIDIGI Z/Z Proなんかもありましたし)、レビューするUMIDIGI A1 Proはエントリーモデルです。
ただし「エントリーモデルながら」というのが今回のA1 Proの特徴になっており、一番の注目ポイントは100ドル前後ながら「VoLTEでのデュアル待ち受け(DSDV)に対応している」ところです。
以前までは日本でもデュアルSIMでLTE/3Gのデュアル待受ができるDSDSスマホは多かったですが、最近は4G/4GでVoLTEのデュアル待受ができるDSDVが話題になっていると思います。例えば最近の機種だとQualcommの比較的高性能なSoCを搭載したモデルが対応していたりします(ZenFone 5とかはQualcomm SoCでDSDVサポートですね)。
そんなDSDVに対応しているだけでもまだ2018年では珍しいUMIDIGI A1 Proですが、もう一つの特徴は「価格が激安である」というところでしょうか。
そもそもプロセッサーにMediaTek MT6739を搭載しているのでDSDVに対応しているわけですが、このMT6739というのが2018年ではかなり珍しく、エントリーモデルの性能にDSDVを対応させたSoCです。UMIDIGI A1 Proはこの恩恵でデュアルVoLTEで待受が可能かつ、中華スマホということもあって異様に安い、という事かと思います。
最近MediaTekのMT6739を搭載した中華スマホといえばElephone A4があるのですが、こちらも同じく100ドル前後です(発表時点ではDSDVに対応させているかは謎です)。SoCの仕入れ価格などはさっぱり知らないですが似たようなスペックの機種が似たような価格で発売できてしまう事を考えると、この「低価格でDSDVを実現」というのがUMIDIGI A1 Proの面白いところです。
MT6739自体は比較的新しいSoCのようなので採用機種は少ないですが海外ではHTC Desire 12、Alcatel 1X(Android Go)なんかもあるらしいので、2018年から低価格帯にも徐々にデュアルVoLTEでの待受対応端末というのは広がっていくのかなという気がしますが、とりあえずUMIDIGI A1 Proはここまで安くてこの時期にDSDVに対応している、というのが新鮮な機種なわけです。こういった端末がすぐ出てくるのも中華スマホの楽しいところかと思います。
外観も(超新参で意味わからんブランドでもない限りは多分、ただ新興ブランドでもODM/OEM歴のある会社が独自ブランドを出したりすることもかなり多いようなので、むしろ新しいブランドが面白そうだったりもするのですが)中華スマホでもこのレベルになるとかなりしっかりしています。
実際のところは内部を殻割りしてみてみないことには分かりませんが、少なくとも100ドル前後であっても一昔前のFREETELエントリーモデル的なチープな質感は中華スマホにはもうほとんどないと思います。むしろそんな機種は少ないくらいな気がします。
初めてZenFone 3を手に持った時の「スピン加工ええやん」的な、UMDIGI A1 Proを手に持つと「100ドル台で作れるんだ」といった感じの、全然違うのですが、ある種驚きと結構良いじゃんというところでは似た感覚です。
もちろん安いのに見た目がしっかりしているという点で言えば、数年前から中華スマホでは「メタル筐体でミッドレンジのスペックに100~200ドル台の価格」であったり「大容量バッテリー搭載」であったりコストパフォーマンスの面では不思議な凄みを見せつけるモデルが多かったのも事実なので、そこまで驚きもないと言えばないのですが。
それでも1万円台の国内発売があるSIMフリースマートフォンをいくつかみてみると面白そうな機種というのはなかなか見つからないので、対価格でみるとやっぱりすごいんじゃないかと思います。
MODEL | UMIDIGI A1 Pro |
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ブランド | UMIDIGI Mobile |
OS | Android 8.1 Oreo |
ディスプレイ | 5.5インチ 18:9 720 x 1440ドット(HD+) 293ppi |
SoC | MediaTek MT6739 4コアCPU 最大1.5GHz IMG 8XE 1PPC@ 570MHz GPU |
RAM | 3GB |
ROM | 16GB |
外部メモリ | microSDカードスロット 最大256GBサポート |
本体サイズ | Height:145.3 mm Width:69.1 mm Thickness:8.5 mm Weight:173 g |
カメラ | 13MP+5MPリア 5MPフロント |
バッテリー | 3,150mAh 5V/2A急速充電 |
SIMスロット | nanoSIM×2 DSDV対応(キャリア要確認) |
対応バンド | 2G:GSM 2/3/5/8 3G:WCDMA 1/2/4/5/8 4G:TDD-LTE 38/40/41 4G:FDD-LTE 1/2/3/4/5/7/8/12/17/19/20 |
Wi-Fi | IEEE802.11 a/b/g/n 2.4GHz & 5GHz |
Bluetooth | 4.0, HID |
位置情報 | GPS, GLONASS, BeiDou |
センサー | P-Sensor, L-Sensor, Accelerometer Gyroscope, Geomagnetic Sensor |
その他 | USB Type-Cポート 3.5mmヘッドフォンジャック 顔認証アンロック機能 指紋認証センサー |
参照 | http://www.umidigi.com/page-umidigi_a1pro_specification.html |
ネットワーク以外とのところで言えばクアッドコアCPUのエントリーモデル向けSoC、3GB RAMはそこそこの容量ですがストレージは16GB ROM。microSDカードは利用可能ですが、当然内部仕様はエントリーモデルなのでパフォーマンスはそれなりです。OSはAndroid 8.1.0 Oreoをプリインストールしているのでデュアル画面で開くことも可能ですが、ゲームやマルチタスクでガンガン楽しむ機種ではありません。
とは言っても2018年に発売のエントリーモデルなので、USBポートがType-Cであったり、ディスプレイに18:9のアスペクト比を採用していたり、また指紋認証センサーなども搭載されています。
カメラは背面がデュアルレンズとなっていますが、この価格帯の機種にカメラ性能を求めないほうが良いと思います。カメラ性能を重視するのであればXiaomiやHUAWEIで200ドル前後の中堅モデルがおすすめです。
UMDIGI A1 ProとDSDV
とりあえずDSDVの挙動についても確認してみました。(日本での利用を推奨するものではありません。◯部分は脳内変換でお願いします、◯の部分は日本のキャリアと一切関係ありません。念のため)
まずはd◯como回線ですが、VoLTE対応してました。ネットワークもAPN設定でspm◯de.ne.jpを設定すれば使えましたし、その状態で試しに通話も受信してみましたが、普通に受けることができています。
◯バンクの回線については持ってないので分かりません。すみません。◯!mobileなんかも今後テスト用に持っておきたいなと思うののの、まだ申し込んでません。ただS◯ftBank系の回線に関しては3GがWCDMAですし海外端末だとBand 1とBand 8には対応していることが多いので、D系で使えるならS系でも予期せぬことがなければ大抵使えるという考えで現状使う予定のないYを契約するのもどうなのかなという気がしているので、未確認です。
◯uに関しても対応していたのは面白いところで、この辺りもVoLTEが使えるメリットかと思います。◯uに関しては3G回線でCDMA2000というデメリットというか今となっては過去の遺産が存在するのでSIMロックフリーでも対応によっては使いにくい部分があったりするわけですが、◯u VoLTEにさえ対応して対応バンドさえしっかりしていれば普通に使えるわけで、UMIDIGI A1 Proに関していえばさらにDSDV対応なので活用できるシーンは多いというか、単純にMT6739の恩恵というのはその辺りにあると思います。
では実際のDSDVはというと、こちらもDとAの回線で普通に使えました。デュアル待受の状態で試しに電話してみましたがどちらも普通に着信しますし電話OKだったので、100ドル前後のスマホでもうデュアルVoLTEが使えるというのは、なんだか不思議な気持ちになります。
もちろん、ここでいう全てのVoLTE対応はキャリアによります。機種によってはVoLTE対応のSoCで対応バンドをサポートした機種でも使えなかったなんてことも過去にありましたので、じゃあ他の機種が同じSoCを搭載していれば似たように同じキャリアで使えるのかというとそんな簡単な話ではないと思うので、ネットワークやVoLTE対応については当然機種ごとにみないといけないのかなというのは付け加えておきます。
とりあえずUMIDIGI A1 ProはDとAをサポートしており、安い方のSIM市場をみると現状はY以外ならDかAということもありますし、ネットワーク対応とDSDVに関して興味がある方ならかなり面白そうな中華スマホな気がします。
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